KOZAはロックシティ#7
本日5月15日は沖縄本土復帰の日、新生沖縄県が53歳を迎えました。当時の空気が知りたいという方には、ズバリ1972年の沖縄が舞台となっているサスペンスフルな小説「渚の螢火」がオススメ。ドラマ化も決定したらしく楽しみです。
米軍基地は残り”抗議”と”祝賀”で二分したとされる、混乱した当時の世相に思いを馳せつつ、1972年5月13日付の全米ビルボード・ホット100を紐解くと、吉岡正晴先生が「1972年5月の衝撃」と呼ぶ珍事が……詳しくは以下をご参照ください。

Atlantic、Brunswick、Stax、Motown、Hiと名門R&Bレーベルの揃い踏み!! しかも、時代の風雪を耐え抜いた名曲が豪華ラインナップしている。ポピュラーミュージックの世界においては、1972年というのはつくづく良い時代ですねー。

本土復帰のBGMとしていちばん相応しいのは、ロバータ・フラックの地味ぃな大ヒット曲ではなく、アリーサ・フランクリンのニューソウルな新生面でもなく、ファンキー過ぎるジョー・テックスは不謹慎だし、メロウなスイートソウルや洗練されたフィリーソウルはお門違い……やはりここは、ゴスペルファミリーのステイプル・シンガーズによるNo.1ヒットがピッタリじゃないでしょうか!? なお「I’ll Take You There」は、R&Bチャートの方では一足先に5月6日付から4週連続1位を獲得しています。沖縄にはじっとりしたサザンソウルが似合う♪

超名曲なので「I’ll Take You There」と検索すればGoogleが歌詞全文を教えてくれます。シンプルなコール&レスポンスが繰り返され、”I’ll Take You There(連れていってあげる)”というコーラスが力強く胸に響いてきます。いったいどこに? という疑問に対して2番では、”誰も泣くことのない、不安を抱くことのない”ところ、と語られます。さらに、”異人種に偽りの笑顔を向けることのない”ところ(筆者訳:合っているかな?)、とも……。
翻って53年後の沖縄や日本はそういう場所になり得たのか?! ゴスペルの祈りに溢れるこの曲はそんなことすら訴えかけるようです。53年前の5月、コザゲート通りに流れていたであろうThe Staple Singers「I’ll Take You There」を夢想しつつ、1972年5月15日のテーマに推薦したいと思います。